ベトナムのビール市場

泡立つベトナム、ビール市場 消費量アジア3位に、各社増産躍起

 ベトナムのビール市場が急成長を続けている。同国商工省は2010年のビール国内消費量が約24億リットルに達したと発表した。03年の約13億リットルから平均8.7%の勢いで増加し、7年間で2倍近くに膨らんだ。

 ◆7年間で2倍に膨張

 この間、同国の経済成長率は年平均7.3%、1人当たり国内総生産(GDP)は約490ドル(約4万1190円)から約1160ドルに伸びた。好景気を背景に所得が上がり、日常的にビールを楽しむ人が増えているほか、観光産業も発展して外国人観光客の増加に伴う観光地でのビール消費量も増加している。

 キリンホールディングスが毎年発表している世界主要国のビール消費量調査によると、ベトナムは年間消費量で06年にフィリピンを抜き、08年にはタイを上回って東南アジア諸国連合ASEAN)でトップに躍り出た。09年はアジアで中国、日本に次ぐ3位、世界でも前年の20位から15位に順位を上げるなど、目を見張る躍進ぶりだ。

 外資系ビール各社は、ベトナムの市場拡大が今後も続くとみて、相次いで増産に乗り出した。国営英字紙ベトナム・ニューズなどによると、アジア最大手のビール会社でシンガポールに本拠を置くアジア・パシフィック・ブリュワリー(APB)は、ベトナム国内で「ハイネケン」や「タイガー」などの銘柄を製造販売する子会社ベトナム・ブリュワリーの生産能力を、現在の1億リットルから4億リットルに引き上げると決定した。

 APBは1991年に同国に進出。当時の年間国内生産量は5000万リットルだったが、昨年のグループ全体の生産量は4億7000万リットルと10年間でおよそ10倍となった。同社幹部は「東南アジア地域でもっとも有望な市場だ」と述べ、今後も同国での製造販売を重視していく姿勢を示した。

 国内メーカーも負けていない。国内最大手で約35%のシェアを握るサイゴン・ビール・アルコール・ベバレッジのグエン・クワン・ミン社長は「昨年、前年比21%増の11億リットルを生産した。今年も20%の成長を見込んでいる」と述べて、増産をにおわせた。

 ◆覇競う内外メーカー

 シェア約25%で国内2位のハノイ・ビール・アルコール・ベバレッジは、今年1月に4200万ドルを投じ、年産5000万リットルのデンマークブランド「カールスバーグ」製造工場を稼働させた。昨年の生産量は前年比31%増の6億リットル。新ブランド投入でさらなるシェア拡大を図る方向だ。

 商工省は、今年の年間消費量について、過去最高の28億リットルを突破するとの予想を発表した。同省の幹部は海外ブランドの進出や、相次ぐ増産などで国内市場の競争が激しくなる現状を「消費者の選択の幅が広がる」と歓迎する見解を示している。(シンガポール支局)

出所:フジサンケイ ビジネスアイ 4月4日(月)


若者が多いという人口構成のベトナムでは、

若者が消費の中心を狙う製品の市場が特に魅力的です。